漆喰あれこれ

珪藻土と漆喰

漆喰と似ているのでなにかと比較されがちな珪藻土ですが、性能面で大きく異なる ので一緒に考えないほうがいいでしょう。 漆喰はそれだけでなんの力も借りずに無添加素材として成り立っているのに対し、 珪藻土は接着剤で固めたり防カビ材を混入しなければ建材として機能しないのです。 結局は土なので壁として仕上げるにはそこそこ化学の力を借りなければならず、 その成分のせいでシックハウスになることもあります。 接着剤の力が弱まれば形状を維持できなくなって崩れてしまうこともあるし、 漆喰の方が優秀だとおっしゃる大工さんの方が多そうです。 正確には土というよりもプランクトンの死骸などが積み重なって生まれた泥土で、 ただの土よりもありがたい存在ではあるのですが単体で壁にするのは無理があります。 レンガや七輪の材料に使われてきた実績があるので防火性能はまずまずですが、 漆喰ほど頼りにはならずなんらかの補助的な相方無しでは活躍はできません。 それでも長年日本人に親しまれてきた物ですし住宅の一部に取り入れたいと考える 人はいますので、取り扱いには注意するようにしましょう。 べつに建材として不向きではなく、ちゃんと特性を理解していればそう問題には ならないでしょうから、あまり恐がらなくても大丈夫です。 気にすべきは何を混入して使用するかであり、珪藻土そのものが人体に悪影響を 与えることはそうないのです。

漆喰とエアコン

住宅に漆喰がたくさんあれば夏場にエアコンを動かす時間は短くなるという メリットを、どこかで聞いたことのある人も大勢いるでしょう。 その理由は熱の元になる赤外線を漆喰が反射するからで、赤外線を吸収しやすい 物質と比較すれば表面の温度に大きな差が表れるはずです。 よく黒い服は熱を吸収して白い服は反射するといいますが、それと同じ原理で 漆喰で守られた住宅には熱が篭りにくいのです。 色自体にもそうした働きはありますが漆喰が赤外線を反射する一番の理由は、 結晶が普通に光を反射しているのです。 これを分かりやすく検証する方法に鏡を使った実験があります。 真夏の昼間にコンクリートの上に鏡を置いて1時間ほど放置して、鏡の表面温度 とコンクリートではどれだけの温度差があるか比べるのです。 天候次第ではコンクリートの方は裸足で歩けないほどアッチッチになっていても 不思議ではありませんが、光を反射する鏡の方は全然熱くはないのです。 1時間では足りなかったか、ともう1時間延長しても鏡の表面はひんやりとして おり夏の屋外とは思えぬ気持ちよさでしょう。 太陽からやってくるあれこれを反射することで涼しさを手に入れるので、漆喰の 住宅はエアコンを使わなくてもそこそこ快適なのです。 動かす時間が少ないので電気代もお安くてとっても経済的ですね。

漆喰と暖房

夏場に外部からの熱を反射してくれる漆喰のおかげでエアコンもあまり使わずに 済むことは先ほど説明しましたが、冬だとどうなのでしょうか。 住居内で石油ストーブを使った場合、そこから発生した熱が反射されて部屋の中 を確実に暖めてくれる、なので暖房効果に無駄が生じずやはり経済的なのです。 外部からの熱も反射してしまいますがどうせ冬なんかそんなに暖かい光線を届けて はくれませんし、こちらは反射しても惜しくはないでしょう。 それよりも燃料なり電気を消費して生み出す熱量の扱いの方が重要です。 遠赤外線の暖房器具もありますし、熱と赤外線は密接なつながりがあります。 わかりやすく熱イコール赤外線と考えて頂いても構わないでしょう。 それを反射する漆喰に囲まれたお部屋は熱が外部に逃げてしまいにくいので、 文明の利器で発生させた熱を骨までしゃぶりつくせるのです。 もしも熱を吸収しやすい素材の壁に囲まれた部屋なら、暖房器具で生産した熱を どんどん奪ってしまうのでなかなかお部屋が暖まりません。 コンクリート剥き出しの部屋だといくら暖房を使っても全然室温が上がらないのは、 壁が熱をうばっているからです。 効率的に住居を暖められる、そして保温できることも漆喰の大きなメリットに なりますから、天然のエアコンともてはやされているのも納得です。